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死神青年と吸血鬼少女の話
すこし、本当にすこしですが、血の出る話ですので苦手な方はお気を付けください。


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「黄土色は好きですか」
「はい」
「茄子の漬物が苦手ですか」
「いいえ」
「毎朝新聞のラジオ欄を見ますか」
「いいえ」
「好きな球団はカープですか」
「はい」
「冷蔵庫のうなりが許せないほうですか」
「いいえ」
「好きな言葉は棚から牡丹餅」
「住めば都」
「…あんた意味わかんない」
「それは俺の台詞」


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あたしと全部は同じじゃないわ?


一人ぼっちの駅だった。がやがやと音を立てる小ぢんまりとした人ごみの中でウィダーゼリーを片手にスポーツバッグを提げた少年は、くたびれたスーツ姿の隙間に視線を這わせては何でもないようにまた電車が止まるはずの空間へ目を投げる。暑い夏の日だ。吹き出す汗さえ温い。真っ白いシャツに真っ黒いズボンをはいた彼は夏の濃い陰に吹く風で茶色がかった髪の毛を遊ばせながら、咎められるのを恐れるようにそっと、背伸びをして灰色の人の群れを見渡した。左。右。蝉の声がうるさい。人ごみの端にいたのは水色の襟のセーラー服。ぴょんと伸び上がって再びその姿を見た。ちがう。もう一度、左。彼がつま先立ちのまま向くと、遠くに電車の顔が見える。
学校に着くと校舎の大きな吹き抜けのスペースにTシャツの生徒が何人かいた。文化祭で発表するダンスの練習をしているらしかった。高い声でときどき笑いながら振り付けを考える女子生徒から少し離れた場所でぽつんと椅子に腰掛けそれを見つめている小さな頭を少年は軽く小突く。子犬のような目が驚いて振り返る。おはようございます、と、声を低くして言う彼女に少年は捨て忘れていたウィダーゼリーの空パックを押し付けて逃げ出した。不服の声が背中を追いかけるが体は追ってこない。小走りになるのをやめた少年は階段を上がり吹き抜けの真ん中を通る渡り廊下に出て少女の姿をまた探した。少女はウィダーゼリーの空パックを渋々ごみ箱に捨て、もといた場所へ戻る途中だった。校舎の中は蝉の声でいっぱいだ。少年は少女を上から呼び止めた。ねえ。少女は振り返る。なんですか。今日からずっと朝練やってんの。そうですよ。何か文句でもあるのかと言いたげに腰に手を当てて少女がそう言う。ショッキングピンクのクラスTシャツ。そこからのぞく柔らかそうな腕に、少年はぼんやりとこんなに肌が白かったっけと考えた。柄でもない。ゴミくらい自分で捨ててくださいよ、と先刻のことについて文句をたれる少女に、彼はそれあんま似合わねえと言って立ち去った。立ち去る際に、ぽかんとした少女の顔が視界に入った。いったい彼女は何時の電車に乗って来たのだろう。ウィダーゼリーの味はどうやっても思い出せなかった。






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なんか微妙に気に入らんがしばらく放っておこう
すぐ隣にいるのにお互い地球半周しないと向かい合えないような二人っていいなとおもう 特に学生のうちは


そう言って轍の上を歩く君は父親に手をひかれる幼子のようで






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轢かれるんじゃないよと言いたくもなるのだ



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