涙が出た、それは悲しいからではなくて、恐ろしいからでもない、だけど嬉しいからでもなかった。ただただ生温かい、視界を焼く赤で温められたように。これ以上ない墨染めの空を大胆に切り裂いた鮮烈なその色は風のように走りゆらめいて踊り狂い何かを祝福している。その何かを教えはしない、そうやって健気な杞憂をあざ笑う。つま先を立てて見下ろす。柔らかな霞ひとつ燃やしてしまって隔てられずに。いつだって、そうだ、知っている、いつだって、卑怯で、突然で、軽薄で、綺麗に、裏切るのだ、みえない速さで逃げられるから。
炎は私を囲み、闇夜の中に浮かび上がらせる。溶けだした蝋のような涙を震わせ灼いていく。炎はやがて人の形をとって無愛想な顔をする。この炎の色を知っている。知っている、知っているわ。あなたのなまえ。いつも私をこまらせる。私をおいていく。
「おたくはいつも泣いてんだな」
「あなたの、せい、」
ああ、炎のむこうに星がきらめいている。
---------------------------------------------------
設定等と今週号感想は追記から。
なんというか、終わってしまいましたね。分かってはいたけどやっぱりちょっと切ないです。
打ち切り作品が綺麗に終わるはずもないので終わり方に関しては特に文句とかもないです。むしろ、史進の描写や燕青の描写などは打ち切り感たっぷりで潔かったです。王進と史進は原作じゃ親子だから、これからひと悶着あって最終的に親子の契り（のようなもの）を交わしたりすんのかな！とか思うとにやにやしますね。燕青のキャラも良かったと思います。というかキャラクターはしっかりかなりの人数を作っていたっぽいところが（それは一話扉から分かっていたけど）残念というか、勿体ないというか…。最後が「笑えねーな」だったのも（倒したい人間が倒せるまでは「笑えない」ってことだから）「おれたちの戦いはこれからDA★」と常套句言っちゃうより上手いかもしれないとさえ思いました（もうね贔屓目だからね）。
最終回に戴宗さんと翠蓮の絡みが無かったのは残念だったけど、翠蓮も宿星になっちゃったし、戴宗のこと心配してたし、うん、まあまあ良かったのではないかと思っています。きっとこのあとしばらく経ってからお互いにちょっと成長して再会するんだよね！なにそれ王道もえる！ということで書いたのが上記。妄想ですがもうそれが許されるところまできたと思うのでやってしまいました。3巻は2月に発売ということですが、もちろん全巻コンプしますよ。もちろん。なにやら色々描き下ろしてくれるみたいだし。
とても短い期間でしたが久々に楽しめました。今後WJはハデス先生のためだけに読むことになるな…いや新連載でまたいいやつが出てくるかしら。出てきたら嬉しいけどな。天野先生にはまたぜひ頑張ってほしいです。あの絵ならむしろ月刊向きとも言えるし週刊だけが全てではないよ。また先生の作品に会いたいものです。
ハデス先生は続いてくれるといいな…ちょっと順位おちてきてるけど龍ちゃん良かったじゃない…シンヤまじ可愛い…
あと関係ないけどばくまんの蒼樹さんと福田さんの組み合わせ好きです。「あの人に聞くのは屈辱的」って思ってる紅嬢がおそろしく可愛かった。
（これ以降ちょっとだけWJのシステムについて触ってるよ！）
別に打ち切りというシステム自体に文句があるわけではないんです、メリットもデメリットもあるのは当然のこと。ビジネスである以上こういう機能は何かしら必要だとは思います。ましてや本誌。週刊で連載したい作家は山ほどいるのにアンケさっぱり取れない作品を作家の気が済むまで続けさせるというのはやはり問題だと思う。定期的に新連載が始まって新しい刺激がもらえるのも良いことだと思う。なんだかんだいって私個人としてはこの制度のおかげで良い目を見ているような気がしています。作家さんにとってはストレスになるシステムだろうけどモチベーションにも繋がるところあると思うし。ただ…今回のようなことはやっぱりかなしいですね。かなしいです。どうしようもなく。このまま連載続けて今以上に、上位を食うくらいに面白くなるかと言われたら確かに唸るしかないから仕方ないんだろうけど、絵とかキャラクターを見るともったいないなって思うんです。このまま3巻で終わってしまう素材として。だから何か、救済措置みたいなものがあるといいなって思うんですけど、それは無理なのかなあ…。ああ、かなしい。
PR
COMMENTS