膝まで届く薄紫色のカーディガンを羽織り手首をその袖に埋めている苗子は、何か心地の悪いところがあるらしく、しきりに目をきょろきょろとさせてはカーディガンの襟もとを正すので、どうしたのだと痺れを切らして問うてみれば、丈の長いカーディガンで寸胴に見えやしないか不安なのだと言う。あまりにその薄紫が苗子の白肌に似合っていたので脱がすのが惜しく、私はあっけらかんと寸胴も愛らしいじゃないかと言うと、苗子はそんなわけありません、と口をとがらせたが、しばらくその薄紫に目を落とし、そっと私を見てほんとう?と尋ねた
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(ああ、藤の花のようだ)
寝付けないときに考えたのかケータイの中に残っていたデータ。
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(ああ、藤の花のようだ)
寝付けないときに考えたのかケータイの中に残っていたデータ。
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