別離のふねが前を行く、赤い提灯に消えていく。夏の闇のその先の名すら僕は少しも知らぬ。行く人よ、小さき娘、空の手を惜しんではならぬのだ。汗ばむ項に団扇を振って虫の鳴き声に笑むがよい。ああ、ただ、いとしい人よ、南の空に火の粉が弾けたときは、足を止めてそちらを向いて透いた目をしてほしい、遠くにあるものほど人は美しいと思うのだから。
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それを自愛と他愛の区別もつかぬ僕への最後の贈り物にしておくれ
七夕の前夜祭で花火が上がったので。
そういえば先輩が花火が上がった後の煙のことを「花火の死骸」と言っていました。「骨が残ってるじゃん、骨が」。確かに光が消えた後の煙は、花火の形になっているんですよね。そういう表現もあるのか、面白いな、と思いました。
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